日本の環境省によって作成された「環境省レッドリスト(レッドデータブック)」は、国内に生息する野生生物の種の保護状況を示し、リストにまとめたものです。
一般に”レッドリスト”という場合、「環境省レッドリスト」以外に「IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト」のどちらかを指します。
IUCNレッドリストは日本国内に生息していない動植物も含むため、国家試験では主に「環境省レッドリスト」について問われるので注意してください。
レッドリストは野生生物の置かれている状況ごとにカテゴリーがわかれており、概ね5年ごとに全体的な見直しを行っています。
レッドリストのカテゴリー
レッドリストのカテゴリーには以下の種類があります
- 絶滅(EX)
- 野生絶滅(EW)
- 絶滅危惧種
- 絶滅危惧ⅠA類(CR)
- 絶滅危惧ⅠB類(EN)
- 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
- 準絶滅危惧種(NT)
- 情報不足(DD)
絶滅(EX)
我が国ではすでに絶滅したと考えられる種が分類されています。
- エゾオオカミ
- ニホンオオカミ
- ニホンカワウソ
- ダイトウノスリ
- シマハヤブサ
- チョウザメなど
ちなみにEXは「extinct(絶滅した)」の略です。
野生絶滅(EW)
野生絶滅(EW)は飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種が分類されます。このカテゴリーの動物は現在クニマスのみとなっています。
- クニマス
ちなみにEWは「extinct in the wild(野生で絶滅した)」の略です。
絶滅危惧Ⅰ類
絶滅危惧Ⅰ類は絶滅の危機に瀕している種が分類されます。
このカテゴリーは絶滅の危険度に応じてさらに2つのカテゴリーに分かれています。
絶滅危惧ⅠA類(CR)
絶滅危惧ⅠA類はごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いものが分類されます。
具体的には以下の判定基準に該当するような種が分類されます。
過去10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、90%以上の減少があったと推定され、その原因がなくなっており、且つ理解されており、且つ明らかに可逆的である。
環境省報道発表資料「環境省レッドリストカテゴリーと判定基準(2020)」より(なお、ほかにも複数の判定基準がある)
- ツシマヤマネコ
- イリオモテヤマネコ
- ラッコ
- ニホンアシカ
- トキ
- コウノトリ
- ワシミミズクなど
ちなみにCRは「critically endangered」の略です。
絶滅危惧ⅠB類(EN)
絶滅危惧ⅠB類はIA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いものが分類されます。
具体的には以下の判定基準に該当するような種が分類されます。
過去10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、70%以上の減少があったと推定され、その原因がなくなっており、且つ理解されており、且つ明らかに可逆的である。
環境省報道発表資料「環境省レッドリストカテゴリーと判定基準(2020)」より(なお、ほかにも複数の判定基準がある)
- アマミノクロウサギ
- アカウミガメ
- ライチョウ
- イヌワシ
- タイマイ
- ニホンウナギなど
ちなみにENは「endangered」の略です。
準絶滅危惧種(NT)
準絶滅危惧種は現時点での絶滅の危険度は低いが、個体数の減少がみられ、今後、絶滅危惧種とされる可能性が高い種が分類されます。
具体的には以下の判定基準に該当するような種が分類されます。
生息状況の推移から見て、種の存続への圧迫が強まっていると判断されるもの。具体的には、分布域の一部において、次のいずれかの傾向が顕著であり、今後さらに進行するおそれがあるもの。
環境省報道発表資料「環境省レッドリストカテゴリーと判定基準(2020)」より
a)個体数が減少している。
b)生息条件が悪化している。
c)過度の捕獲・採取圧による圧迫を受けている。
d)交雑可能な別種が侵入している。
- ゼニガタアザラシ
- アオウミガメ
- トド
- オオタカ
- アカハライモリなど
ちなみにNTは「near threatened(危機一髪)」の略です。
情報不足(DD)
評価するだけの情報が不足している種が該当するカテゴリーが情報不足(DD)です。
ちなみにDDは「data deficient(情報不足)」の略です。
まとめと対策
愛玩動物看護師国家試験では各カテゴリーに該当する動物種をこたえる問題が出題されることがあります。
全部の動物を覚えるのは時間がもったいないですが、せめて各カテゴリーの好きな動物を2種類ほど(合計10種類)だけ覚えておきましょう。
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