心臓の外観と胸腔内での位置について
心臓は頂点が下方を向いた円錐形をしており、左右非対称に左心室が発達しているのが特徴です。
これは左心室が全身へ血液を送り出す役割を担っているためです。胸腔内では、心臓は胸腔を左右に二分する縦隔内に存在しています。
心臓の底部は大動脈と大静脈に接しており、これらは心臓から出たり入ったりする主要な血管です。
また、心臓の前縁は肺動脈と肺静脈に接しています。これらは肺と心臓を結ぶ血管です。
心臓は胸腔内の相隔膜と第三肋骨から第六〜第七肋骨の間に位置しています。
- 円錐形で左心室が発達
- 胸腔内の縦隔内に存在
- 底部は大動脈と大静脈に接続
- 前縁は肺動脈と肺静脈に接続
- 相隔膜と第三肋骨から第六〜第七肋骨の間に位置
犬と猫の心臓の違い
犬の心臓の長軸は犬種や体格により異なります。大型犬では心臓も大きく、小型犬では比較的小さいです。犬の心臓の相対重量は、平均で体重の約0.7%です。
一方、猫の心臓は犬の心臓と比べて若干小さく、形状も異なります。猫の心臓は体重の約0.55%を占めます。これは犬と猫の体格や生活環境の違いからくるものです。
- 犬の心臓: 長軸は犬種や体格により異なる、心臓の相対重量は体重の約0.7%
- 猫の心臓: 犬の心臓より若干小さく、形状も異なる、心臓は体重の約0.55%を占める
心臓の構造とその役割
心臓は左右の心房と心室の4部屋からなり、心房中隔と心室中隔によって仕切られています。
左心系は左心房と左心室、右心系は右心房と右心室からなります。これらは血液の流れを一方向に保つための重要な構造です。
左心房と右心房を仕切る中隔を心房中隔、左心室と右心室を仕切る中隔を心室中隔と呼びます。
- 左右の心房と心室の4部屋から成る
- 心房中隔と心室中隔によって仕切られる
- 左心系と右心系が存在
- 血液の流れを一方向に保つ
房室弁と動脈弁の役割
右房室弁(三尖弁)は3枚の弁からなり、左房室弁(僧帽弁または二尖弁)は2枚の弁からなります。これらの弁は心房と心室の間にあり、乳頭筋と連動して血液の逆流を防ぎます。これにより血液は一方向にしか流れないようになっています。
また、肺動脈弁と大動脈弁は心室から血管への血液の逆流を防ぎます。これらの弁の働きにより、血液は効率よく全身に送り出されます。
- 右房室弁(三尖弁)と左房室弁(僧帽弁または二尖弁)が存在
- 乳頭筋と連動して血液の逆流を防ぐ
- 肺動脈弁と大動脈弁が血液の逆流を防ぐ
- 血液は効率よく全身に送り出される
心臓の内部構造とその役割
左右の心房には盲嚢部(心耳)が存在します。心耳は心房の一部で、線状筋と横索によって形成されます。これは心房の収縮を助ける役割を果たします。
心室の内面には肉柱があり、これは心室の収縮を助ける役割を果たします。
また、刺激伝導系のプルキンエ線維と中隔縁柱が存在します。これらは心臓のリズムをコントロールする役割を果たします。
- 左右の心房には盲嚢部(心耳)が存在
- 心室の内面には肉柱が存在
- 刺激伝導系のプルキンエ線維と中隔縁柱が存在
- 心臓のリズムをコントロールする役割
心膜と心囊水の役割
心臓は心膜(心袋)に包まれています。心膜は外側から順に機能隔胸膜、繊維性心膜、漿膜性心膜壁側板、心外膜の4層からなります。これらは心臓を保護し、心臓の動きをスムーズにする役割を果たします。
心膜腔(心囊腔)には心囊水が満たされており、心臓と胸腔の摩擦を軽減する役割を果たします。正常な犬の心囊水は、0.25mL/kg または0.3~5.5mL/headであることが知られています。
- 心臓は心膜(心袋)に包まれる
- 心膜は心臓を保護し、心臓の動きをスムーズにする
- 心囊水が心臓と胸腔の摩擦を軽減する
- 正常な犬の心囊水は、0.25mL/kg または0.3~5.5mL/head
心囊水の特性とその役割
心囊水は正常な場合は淡黄色で蛋白質を含み、細胞成分はほとんど含まれません。これは心臓の動きをスムーズにするための液体です。
心囊水が出血した場合は赤色になり、血球成分が多く含まれます。これは心タンポナーデと呼ばれる病態を示す可能性があります。
心タンポナーデは心膜腔に過剰な液体が溜まり、心臓の機能を阻害する状態を指します。
- 心囊水は淡黄色で蛋白質を含む
- 心臓の動きをスムーズにする
- 出血した場合は赤色になり、心タンポナーデの可能性
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